今日は、「ゲゲゲ」の脚本、各エピソードについて書こうと思います。
以前、シリーズ5が最近、4、5、6の中で一番面白いと書きました。多分、下町人情長屋という設定のおかげで、各エピソードもエモーショナル、感情的なストーリー構成になっています。絵、演出、音楽、雰囲気、キャラクターが全て揃って平均して水準を守っているのがシリーズ4だと思います。ですが、5の人情味溢れるキャラやストーリーは、頭ひとつ抜いていると、言わざるを得ません。
最初は、その明るい長屋住人の妖怪にその怖さ、恐ろしさ、不気味さが感じられなくてガッカリしてましたが、エピソード8の「ぬらりひょん」で、ちょっとビックリ。不覚にもウルッと来てしまいました。だって、死んじゃうんだもん…。え?妖怪死なないって…。そんなこと気にするより、あの場面はやはり死ななきゃならない…、死んでこそ救われる…そんな生き様、死に様が見る人を納得させる…。
シリーズを通してエモーショナルを追求しているので、いつのまにかアニメに惹き込まれていく。演出も輪を掛けて感情を煽ってくる。アニメ本編が始まる前に、鬼太郎自身の出だしの導入というか口上があってアニメが始まるのだけど、最初からきちんと始まらない。その本編のストーリーの途中のあるシーンを切り取って、見る人に興味を一瞬にしてもたせる。そして本編が最初から始まるかと思えば、ここでオープニング曲。
じらしまくり。ここまでやられると否が応でも本編見たくなるよ。ただ、じらして煽ってくるので、少々まどろっこしく、ややこしくなりがち。
とはいえ以下にあげる各エピソードの作り込みは秀逸。完全にシリーズ4、6の上を行く。これらのエピソードのおかげでシリーズ5に軍配を上げた。
- 8話 ぬらりひょん
- 45話 古椿
- 50話 陰摩羅鬼
- 64話 死人憑き
- 81話 針女
- 99話 かめ姫
上にあげた各エピソードは、そのエピソードの題名ではありません。ホントは、例えば8話であれば、「宿敵!ぬらりひょん」なんです。面倒なので、登場するメイン妖怪の名前を書きました。
みなさんも、アマゾンでシリーズ4と5が見れますよ。シリーズ6は終わったばかりですが、dアニメストアで見れます。「ゲゲゲ」は10年周期でアニメ化されるので、今度見れるのは10年後ということです。寂しいですけど、こういうアニメって他にありますか?つまり、ざっと50年続いてるってことですよ!
正直、50話の陰摩羅鬼は最近見たアニメのなかで屈指。あらゆるアニメのなかでも特別に取り上げられても全く遜色ない出来栄え。僕は何度も、いろんなシリーズを見て内容は知っていますが、このシリーズ5の物は出色。恐怖と愛、優しさと不気味さ。この回を見始めた時、『あぁ、陰摩羅鬼ね…。鬼太郎が画伯に扮するヤツ…』。 なぁんて軽々しく『知ってらぁ』みたいな感じで、さしたる期待も意気込みもなく見ていたら…。
64話の死人憑きも凄まじいですね。伏線がまた良いね。若い後継ぎ。最新科学技術と因習、迷信。都会と村。演出がこれでもかーっ、って押してきます。
81話の針おなご。これも陰摩羅鬼と同レベル。しかし、こっちは人間関係より宿敵、決闘に的を絞っている緊張感と絶望、希望がテーマ。執念、復讐に対抗する武器と戦術がスンゴイ!もうね、これ映画じゃなかと思えるレベル。本気、この回だけ違うオーラがある。ほとんど夜の描写が不気味さ満点。キャラも良し。脚本をみたらこの回だけ違う人。「ゲゲゲ」に限らずアニメシリーズの何十とある各話は、シリーズの常連脚本家が各々何話かそれぞれ担当するようだ。「ゲゲゲ」の場合、各シリーズは4~5名くらいの脚本家がいて多分、10話前後を担当するはずで、そこら辺はシリーズ構成にも関わってくると思う。
それでたまにレギュラー脚本家以外を起用してカンフル剤というか、ちょっと毛色の変わった個性的なエピソードを何話か作って、シリーズを盛り上げるんですね。その一つがこの針女。
シリーズ5はこの3つのエピソードがあまりにも凄いので、シリーズ全体の評価を上げるしか無いんです。ホントは4だと思うけど、シリーズ5のこの3つのエピソードに匹敵するエピソードはありません。シリーズ6もなかなか良いエピソードがあり絵、構成、音楽も水準をクリアしてますが、なんせシリアス。シリーすぎる。子供の純真で素直な心にとっては結構ドギツイ表現やドラマ性が、僕は、『え?こんなことやって良いの?』って思えて疑問でした。あれは、もう大人が見るものになっちゃたから…。
いろいろ書きましたが、「ゲゲゲ」は僕の原点ですのでご勘弁を。